ボイドワープ(Void Warp)

ボイドワープとは、エリア移動を行う際にて、別のエリアにセットされたルーム情報及び x, y, z の各座標情報を利用し出現地点を操作するバグ技の総称である。このバグ技は「ワープ先エントランスベース番号 (Next Base Entrance Index)」が「現在のエントランスベース番号 (New Base Entrance Index)」に書き込まれた後に「エリア退出タイプ (Zoneout Type)」(NTSC 1.0 版ではアドレス 8011B934)と呼ばれるデータを書き換えることで発動する。以前はロングワープの一種だと思われていたため No WW・No IM/WW・バグ制限などの RTA で禁止技とされていたが、ボイドワープの研究が進んだことにより現在はロングワープとボイドワープはそれぞれ異なるバグ技に分類されている。

ボイドワープの仕組み

ボイドワープは「エントランスベース番号」(8011A5D0)がセットされた後にエリア退出タイプデータを書き換えることで発動する。この操作は以下に挙げる方法を利用すれば行うことができる。やり方にはいくつかの種類がある。

エリア退出タイプというデータは、リンクがどの方法を使ってシーン(エリア)を出たかを表すためのもので、次のシーンに移動する際にエリアを生成する情報の一部として使われる。以下にエリア退出タイプデータにセットされる数値と、各数値が表す内容を記す。

  • -3 = ワープ曲。一時フラグ(Temp Flags)はリセットされる。
  • -2 = 不明。一時フラグはそのまま。ガノン城脱出・太陽の歌演奏・ゲームオーバー後続けるを選択、これらを行うとこの値がセットされる。
  • -1 = 特殊な異空間落下。一時フラグはそのまま。最後に使用したエントランスに戻される。
  • 0 = 通常のエリア移動。一時フラグはリセットされる。
  • 1 = 通常の異空間落下。最後のチェックポイントに戻される。一時フラグはそのまま。
  • 2 = 隠し穴から外に出る。一時フラグはリセットされる。
  • 3 = フロルの風でワープする。一時フラグはフロルの風設置時に保存したものが戻る。

エリア移動時にエリア退出タイプが 1 から 3 の数値であった場合、前回保存したルーム情報、x, y, z 座標、そしてリンクの向きを表す情報が取得される。これらの情報を表すデータはタイプ 1 から順にアドレス 8011B938(NTSC 1.0)に保存されており、またデータの大きさはそれぞれ 0x1C バイトである。シーン移動をする際に、移動のプロセスの最後でこのデータを書き換えれば本来取得されるはずのない座標データ群を読み込むことができる。

タイマーの時間切れと、異空間落下やエリア範囲外接触を組み合せる方法

発見者:OBLIVIOUSB

ボイドワープが発動すると、本来タイマーの時間切れ後に飛ぶシーンとそのエリア情報が読み込まれるが、ワープ後の初期位置の設定にはワープ発動前のシーンにセットされていたエントランスの座標が使われる。

フロルの風と、異空間落下やエリア範囲外接触を組み合せる方法

発見者:JBOP

ムービーダイブかエポナ遠隔操作バグ(RCE)を使えば異空間内を落下しながらフロルの風を使うことができる。異空間に落ちて戻される瞬間にフロルの風を使えばボイドワープが発動する。ワープの発動に成功するとフロルの復帰ポイントを設置したシーンとエリア情報が読み込まれるが、ワープ後の初期位置の設定にはワープ発動前のシーンにセットされていたエントランスの座標が使われる。

フロルの風とロードゾーンを組み合せる方法

発見者:[GJ2323, JBOP, AND CAFDE]

ロードゾーンを使ってボイドワープを発動させる場合、ロード先シーンの一番小さいマップ番号がフロルの風を設置したマップの番号よりも小さいとクラッシュしてしまう。

フロルの風とゲルドの見張りを利用する方法

発見者:EMURALOZ

フロルの風とまだ触れていないブルーワープを組み合せる方法

ブルーワープ発動後、通常通りムービーを読み込むことはできるが、リンクの出現座標はセットしていたフロルの風ポイントと同じ座標が使われる。

フロルの風と起動済みブルーワープを組み合せる方法

ブルーワープ発動後、通常通りのシーンとエリア情報が読み込まれるが、リンクの出現座標はセットしていたフロルの風ポイントと同じ座標が使われる。

ワープ曲と、異空間落下やエリア範囲外接触を組み合せる方法

発見者:JBOP

オカリナダイブやエポナ遠隔操作バグを使えば、異空間内を落下しながらオカリナを演奏することができる。これを利用すればワープ曲でボイドワープを発動するなど、面白い現象を起こすことができる。オカリナを演奏し、ワープムービーを最後まで再生する必要があり、そのためにはかなりの時間猶予が必要なため、相当高い位置から演奏を開始する必要がある。したがってこの方法でボイドワープを発動できるのはごく限られた場所のみである。ボイドワープの発動に成功すると、シーンやエリアデータは通常通り読み込まれるが、リンクの出現座標は前のシーンに設定されているエントランスの座標を使って設定される。

ロードゾーンと、異空間落下やエリア範囲外接触を組み合せる方法

発見者:GLITCHESANDSTUFF

現在使用可能場所として確認されている場所はガノン城の崩壊イベントのみ。Any% の最速ルートにて、塔を下りる過程の大部分をスキップするテクニックとして使われている。

日本語解説

ボイドワープに関する変わった現象

デスマウンテン登山道にて

デスマウンテン登山道では、フロルの風やオカリナダイブを使って異空間落下してもボイドワープは発動しない。これはエリア退出タイプが 1 ではなく -1 にセットされるために最後に使用したエントランスに戻されるからである。

Last updated 01/21/2017 – izu