時のオカリナとムジュラの仮面、どちらもアクター増殖を行うことはゲームシステム的にさほど難しくはない。
アクター増殖に強く関係しているデータは、シーンファイルとルームファイル(マップファイルと呼ばれることもある)の 2 つである。
シーンファイルは、対応する区域(デクの樹サマの中・ハイラル平原・ゾーラの里など)全体の基盤となる情報を扱っているファイルである。アクター増殖に関して重要となるのは地形データの大部分がシーンファイルに含まれているということで、シーンファイルが読み込まれるとルームファイルが読み込まれていないエリアを含めてシーン全体の地形が構成される。
ルームファイルは、対応するエリアのグラフィックデータや、アクターリスト(ロードするオブジェクトや NPC をまとめたデータ)を扱っているファイルである。ルームファイルを使用する目的は、エリアを分割することでダンジョンなど巨大なエリアでの描画負荷や使用メモリ量を軽減するためである。1 つのシーンに使われているルームファイルの数は 1 つのこともあれば、複数使われていることもある。アクター増殖は、2 つ以上のルームファイルが使われているシーンでのみ行うことができる。
通常ルームファイルは 1 度に 1 つのみ読み込まれる。しかし隣のルームファイル用のエリアにホバリングを使って入り(地形データを扱っているのがルームファイルではなくシーンファイルであることを利用している)、歩いて元のマップ内に戻ると、既に読み込まれているルームファイルが再び読み込まれるため、そのルームファイルに含まれているアクターも再び読み込まれてアクターが増える。
一部の NPC はこの方法で増殖できる。たとえば迷いの森にいる、ドクロのお面を交換してくれるスタルキッドはこの方法で増殖でき、ハートのかけら増殖に利用できる。
システムのメモリ空き容量が足りなくなったり CPU の演算処理が追いつかなくなったりすると、それ以上アクターの増殖はできなくなる。原則としてエリア内に存在するアクターの数が少ない場所の方が増殖可能回数は多くなる。
通常の方法で同じシーン内の別のルームファイルを読み込む、異空間に落下する、別のエリアに移動するなどの行動を取ると増殖したアクターはすべて消える。ただしガノン城の結界のビームだけは例外で、通常通りプレイしていてもロード状態の解除が行われないというプログラムのバグがある。したがって部屋を出入りするだけで自然にビームの増殖バグが発生する。異空間に落下するか別のエリアへ移動すれば増殖したビームは消える。