バージョンごとの違い

市場に出回っている「64 カートリッジ版の」時のオカリナには何種類かのバージョンがある。バージョン更新によって行われた修正は通常プレイの範囲にはほとんど影響ないが、特定のバージョンでしかできないバグがいくつかあるため、もう少し高度なプレイをする場合はバージョンの違いを意識する必要がある。またバージョン更新によって一部のグラフィックが変更された。

64 カートリッジ版のバージョン更新は長い期間をかけて少しずつ行われたと思われがちだが、デバッグスクリーンの作成日によればカートリッジ用のバージョンは全て最初に時のオカリナが発売される日よりも前に完成されている。

リージョン設定によるバージョン差異

リージョンに関して、NTSC 版は日本と北米向けに作られたバージョンである。NTSC 版は日本版と米版両方にローカライズが施されている。誤解されがちだが米版と日本版が別のバージョンだというのは間違いで、実際は表示言語を切り替えるための 1 バイトデータ以外はどちらもゲームの中身は完全に同じである。

PAL 版はヨーロッパ向けに作られたバージョンである。 言語は英語・フランス語・ドイツ語で、また PAL の規格を遵守するため動作は 5/6 の速さになる。この変更が原因で動きやタイミングにずれが生じるため、 PAL 版でプレイする場合は本サイトに書かれた技のやり方やセットアップが使えないことがある。

iQue 版は中国と香港向けに作られたバージョンであり、言語は中国語。

リージョンバージョン作成日
NTSC初期版(1.0) 98-10-21 04:56:31
NTSC中期版(1.1) 98-10-26 10:58:45
PAL初期版(1.0) 98-11-10 14:34:22
NTSC後期版(1.2) 98-11-12 18:17:03
PAL中期版(1.1) 98-11-18 17:36:49
日本版ゲームキューブ 02-10-29 23:49:53
日本版時のオカリナ裏 02-10-30 00:15:15
米版ゲームキューブ 02-12-19 13:28:09
米版時のオカリナ裏 02-12-19 14:05:42
欧州版時のオカリナ裏デバッグデータ 03-02-21 00:16:31
欧州版ゲームキューブ 03-02-21 20:12:23
欧州版時のオカリナ裏 03-02-21 20:37:19
日本版ゲームキューブ(ゼルダコレクション) 03-10-08 21:53:00
中国版 IQue 2003 年 11 月以前

バージョンの確認法

日本または北米の NTSC 版 64 カートリッジの場合、1 番簡単なバージョン判別方法は、裏のラベル右上にある小さな刻印を調べることである。

OoT Version Punch-Code

*X は不特定の数

xx = 初期版

xxA = 中期版

xxB = 後期版

裏ラベルの刻印が読めない、またはカートリッジが改造されている可能性がある時は、デバッグスクリーン(ページ下部)を見るか、バージョン特有のバグや特徴があるかを調べればわかる。バージョン特有のバグ・特徴に関しては、本ページで後ほど記述する。

バージョン確認に関して、それ以外にも知っておくと良いことがいくつかある。

  1. 米版 NTSC でカートリッジが金色のものは、ほとんどが初期版である。ただし中期版も存在することが確認されている。
  2. "Not for Resale"(再販禁止)ラベルの付いているカートリッジは全て初期版である。このラベル付きのカートリッジは希少。
  3. 米版 NTSC でカートリッジが通常のグレーのものはほとんどが中期版であるが、初期版や後期版が入っていることもある。
  4. "Player's Choice"(プレイヤーズ・チョイス認定ゲーム)ラベルの付いているカートリッジは全て後期版である。
  5. PAL 版はすべて後期版である。
  6. ゲームキューブとバーチャルコンソール用に発売されているものは後期版に修正を施したものである(詳細は本ページ下部を参照)。
  7. 中国 iQue 版として発売されてているものは後期版である。

初期版(1.0)

OoT NTSC 1.0 NA Carts

初期版は、1 番最初のバージョンにあたる日本及び北米版時のオカリナである。初期版限定のバグはかなりあり、多くのバグが以降のバージョンで修正された。

初期版限定の仕様

  • 起動時の N64 回転ロゴの色がとても明るい。
  • ゼルダが光の矢を渡す直前のテキストを飛ばすことができる。(英語版)

初期版限定のバグ

  • セーブワープをしても B ボタンに剣が戻らない。よって、ガノン戦でセーブワープを使って脱出すれば剣なし状態 (Swordless Link)になれる。
  • 釣り竿盗みの際、ホバーブーツで宙に浮いている最中に釣り竿を投げる方法を使うことができる。また、釣り堀の岩からおりる直前に釣り竿を投げる方法も使える。
  • 釣り堀のドア付近で釣り竿を投げることができる。投げるとクラッシュする。
  • エンプティボムグリッチ (Empty Bomb Glitch) ができる。これを利用してアイテム入手遅延や爆弾のクイックドローができる。
  • カカリコの墓地にて、墓穴に入ろうとすると崖掴み、またはジャンプをしてしまう(ジャンプになるか崖つかみになるかは移動スピードによる)。
  • 「しまう」アクションまたはオカリナアイテム(Ocarina Item)発動時の中身入りビンをしまうときに 1 フレームの猶予でアイテム用のボタンを入力できる。また、小さな穴の中・ハシゴを上る最中・ブロックを押す最中にアイテムを使用することもできる。
  • 剣を手に持っている状態でハシゴやツタを登っても、剣をしまうアクションをしない。

NTSC 中期版(1.1)

OoT NTSC 1.1 NA Carts

中期版は最初の更新が施されたバージョンである。多くのバグが修正されただけでなく、メッセージテキスト修正や、わずかなグラフィック変更も行われた。

中期版変更点:

  • 「しまう」アクション中にアイテムを使うことができなくなった。
  • 起動時の N64 回転ロゴの色が暗くなり、光沢が増した。
  • 釣り竿を盗む時のホバーブーツ法と岩ジャンプ法が使えなくなった。
  • 釣り堀内の入り口付近で釣り竿を投げることができなくなった。
  • 大人時代、アイテム一覧にマスターソードが無い状態でセーブワープをすると B ボタンにマスターソードが戻るようになった。
  • 光の矢受け取り直前のゼルダのテキストが飛ばせなくなった。(英語版)
  • 会話テキストの誤字、句読点ミスが修正された。
  • エンプティボムグリッチ (Empty Bomb Glitch) ができなくなった。
  • カカリコ村墓地にて、墓穴に入る時に崖つかみをしたり、ジャンプしたりしなくなった。
  • ツタなどを登る時、正常に剣をしまうようになった。

NTSC 後期版(1.2)(64 カートリッジ版)

OoT NTSC 1.2 NA Carts

NTSC 後期版は、アメリカ及び日本における 2 回目の更新が施されたバージョンである。このバージョン更新では追加のテキスト修正が行われたことに加え、グラフィック・サウンドに大幅な変更が施された。血の表現が規制され、また、ある神殿で使われていた曲が問題になり、差し替えられた。

後期版変更点(64 カートリッジ版):

中期版の変更点に加え、以下の変更が施された。

  • ガノンドロフとガノンの血の色が赤から緑に変更された。
  • 炎の神殿で使われている曲が、闇の神殿で使われている曲のアレンジに差し替えれた。
  • 会話テキストや句読点ミスが修正された。
  • 目玉ガエルバグ (Early Eyeball Frog) や、多くの入手遅延バグ (Collection Delay) が修正された。
  • 戦闘前に爆弾を落としてボンゴボンゴのムービーをスキップする方法が使えなくなった。

NTSC 後期版(1.2)(GC・VC)

NA v1.2 GCN/VC OoT

ゲーム内のとあるシンボルマークが問題となったため差し替えられているが、それ以外は 64 カートリッジ版の後期版と同じである。エミュレーションやハードウェアの性能向上により、64 版ではクラッシュしてしまうために使えなかった技が、いくつか新しい技として使えるようになっている。このバージョンはゼルダコレクション・時のオカリナ GC・バーチャルコンソールショップチャンネルで入手可能。

後期版(GC・VC)変更点:

後期版(64 カートリッジ版)に加えて、以下の変更が施された。

  • 解像度が 2 倍になり、 320 x 240 から 640 x 480 になった。
  • ダンジョン内のブロックやゲルドの標識、ミラーシールドに使われている三日月と星の模様が差し替えられ、ムジュラの仮面で使用されているゲルドのシンボルになった。
  • モーファの核の色が白と赤になり、模様も変わった。
  • 異空間内でボムチュウを落としてもクラッシュしなくなった。ただしマップ領域内に既に爆弾やボムチュウが存在している時は不可。
  • GC 版にて、異空間で爆弾やボムチュウを爆発させると爆風の範囲が 2 倍に広がるようになった。これにより、ホバリングがやりやすくなっている。
  • 大人で B ボタンにセットしたデクの棒を使ってもクラッシュしなくなった。
  • 全体を通してラグが大幅に軽減された。特に塔脱出イベントやガノン戦では顕著。

N64 回転ロゴ

OoT Rotating N64 Logo Change

中期版以降、起動時に出る N64 回転ロゴの色がかなり暗くなり、また光沢が増した。経緯はまったくもって不明だが、公表されている N64 ロゴの色に近づけるための変更であったことに間違いはないだろう。

ガノンドロフ・ガノンの血

OoT Blood Change

後期版(64 カートリッジ版)以降、ガノンドロフとガノンの血の色が赤から緑に変更された。ESRB のレーティングを全年齢対象の E に維持するための変更であると思われる。

モーファの核

Morpha's Ball Rendering Change

64 カートリッジ版では、モーファの核は水色と赤色で独特の模様が描かれている。GC・VC 版では赤と白になり、模様もまったく異なるものが使われている。この描写の違いは、おそらく対応していないシェーダーがモーファのグラフィックに使われているのが原因であり、ゲームの内容を修正したわけではない(エミュレータではどのバージョンをプレイしてもモーファの核が白と赤になる)。3DS 版ではグラフィックが作りなおされているが、引き続き赤と白の模様が使われている。

炎の神殿の曲

NTSC 初期版と中期版では、炎の神殿の曲にイスラム教に関連する宗教歌が含まれている。以下は歌の一部の翻訳である。「アッラーこそが唯一の神。かれの他に神はいないことを私は証言します。」後期版(64 カートリッジ版)以降、この歌は差し替えられ、代わりに闇の神殿の曲のアレンジと思われる曲が使われるようになった。新しい曲には歌詞と思われるものは入っておらず、グレゴリオ風の低音声部と、かすかな女性コーラスが聞き取れる。

シンボルマーク変更

OoT Symbol Change

64 カートリッジ版の全バージョンにおいて、ミラーシールド・ダンジョンのブロック・床スイッチ・ゲルドの標識などには、三日月と星の模様が使われている。後期版(GC)以降、模様は差し替えられ、代わりにムジュラの仮面で使われているダイヤ型のゲルドシンボルが使われるようになった。変更された理由はおそらくイスラムのシンボルマークに酷似していたのが原因である。ゲームの悪役の象徴としてこのシンボルマークを使うことは、明らかに不適切である(また、ゲームのプレイ中に何度もシンボルマークを踏みつけることになる)。ちなみにダンペイレースの入り口と出口の部屋にある旧シンボルは修正し忘れている。3DS 版では修正され、花柄の刻印に差し替えられた。

Last updated 02/10/2018 – sva